タコピーの福音
これはハッピー道具『ワクワクサムネイル』、これでサムネイルを作るとたくさんの人がクリックしてくれたり”かいわい”?が賑わったり名前からスが抜けたりするらしいッピ
中身は?
え?
中身も出してよ
わ、分かんないッピ
ちょっと長いけど読んで欲しいッピ
タコピーの”原罪”ってなんだったんだよ
まぁ流石にサムネネタも一個くらいこなしておきますか…。そもそも一意ではないと思います。殺しちゃったり嘘ついたり忘れてたりとどれで捉えてもいいと思うんですが(余罪が多すぎるだろこのタコ…)実は原義に則るのが一番分かりやすいんじゃないかなと。
原罪、教義によってどこに重点があるかまちまちなんですが神に背いて「善悪を知る木(創世記2:17)」から実をとって食べたことで与えられたもの、ですよね。「ハッピー星という善性の星の民だったタコピーが地球で善悪と罪を知ること」がタコピーの”原罪”だったのではないでしょうか。エデン(ハッピー星)も追放さてちゃいますしね。でもこれって、タコピーの願いを叶えていく上で必要なコトですよね。それを知る前のタコピーは共感性が一切無くて人に寄り添うことも出来なかった訳で。
https://www.oricon.co.jp/news/2226555/full/
悪い言葉ですが悪者を一概に決めてしまわない作者の姿勢とも噛み合っているかなと思います。まぁただこの解釈だと先生が神兼タコを唆す蛇になってしまう……アッ!!
タイザン5 ヤルダバオト説
キマったな(いや漫画家とかだいたいヤルダバオトだろ…)
ハッピー力は何も救わない
地球人にとっては、という前置き付きですが。いや、役には立ってましたよね。死んだの無かったことにしたり無賃乗車出来たり誘拐できたり。結局人心を慮ることの出来ない奴らに由来した力なので事態を悪化させるかチャラにする方向でしか使われてませんでしたね。それはまぁ最後まで一貫してます。そういう意味では唯一役に立ちそうな仲直りリボンが首吊り成功トリガーとして使われたのもあってチャッピーが”東京に行って”以後出てこない作劇はちょっと小狡い気もしますが。
えっ、最終話?あー、三人の心がちょっと変わったのがハッピー力のお陰だと仰るわけですね。
おまたせ致しました。ここからが本題でございます。まず皆さんにはちょっとだけタコピーのことを考えて頂きます
タコピーの巡礼
タコピーが全てを思い出して、東くんとお別れして、季節が巡るなかで考えても結局出来ることはお話すること。お話して一緒にいて共に泣いてあげることだけでした。パパの代わりにもママやチャッピーの代わりにもなってあげられないから、涙を止めることすら出来ない。タコピーの無力感は幾許のものでしょうか。全部失くしたしずかちゃんの手をずっと離さずに、ずっとずっと。長くなった髪を切らなければいけないくらいずっと一緒にいて、何もしてあげられないけどしずかちゃんはまだ死なずにいてくれてる。
そこまでの事が分かるならタコピーは当然理解出来る訳ですよね、2022年のまりなちゃんともそうして過ごす選択肢があったかもしれないことを。死なずに済んだかもなんて確信めいたことは言えないけど、ホントはお話しなきゃいけなかったことを。
”思い出していた”最後のやり直す手段を実行に移すまでどれだけの時間があったんでしょうね。生き物である以上消えるのはきっと怖いでしょう。ママと仲直り出来ずに消えることは心残りでしょう。後悔と無力感と、生きて一緒にいられる今続いてる時間を天秤にかけてそれでもやはりしずかちゃんがずっと泣いているのは嫌だと言って最後の旅にでる決断をするんですよね。
タコピーは何を遺したのか
さてタコピーにもこのくらいの情緒はあるよねという話をしたあとで恐縮なのですが、ここから先の話は「タコピーの無力さ」をどの程度信じるかという話になってきます。有り体に言えば無能さですね。
「ものすごい笑顔にしてみせる」とのたまった訳ですがタコピーには勝算があったんでしょうか。三人の機微を理解して誘導する算段が?それともハッピー力の奇跡の力?話を畳む為の神の見えざる手の後押しで覚醒した?
いやそんな訳ないじゃん、お別れ前の気休めでしょ。今のタコピーは長い時間掛けて自分の無力さを一度受け止めてしまってるから、結局自分に出来ることはお話することくらいしか出来ないと分かっているから。リセットされた三人が生きている世界で、東くんがしてくれたみたいに「ありがとう」と「バイバイ」を伝えるために記憶の残滓を残して自分にとって一番大事な少しの言葉を伝えてそれが届いて欲しいって「きっと大人になれるように」と祈ることくらいしか出来ないし、実際それしか出来てなかったでしょう。
じゃあその気持が伝わったってことなんですかね。みんなに伝わって改心したって?うーん、まだタコピーのこと過大評価してません?その解釈でもいいと思いますけど、タコピーが残したものにはもっと大きいものがあるんじゃないですかね。
喪失の代替
死別はこの漫画では自死のトリガーになっています。正確に言えばストックのない状態で大切なものを失ったら子供達は死ぬしかありません。
翻ってタコピー・しずかちゃん・まりなちゃんです。最後に残ったものとして一緒に過ごしたしずかちゃんは勿論、まりなちゃんとタコピーが2022年にどのくらい一緒にいたのか分かりませんが最後に残った自分を気にかけてくれる存在としてそれなりの重さを持った友達として存在していた訳ですよね。タコピーは何かの代わりになって穴を埋めることは出来なかったけど、タコピーとして大切なものにはきっとなれていたはずなんです。「能天気でバカでゴミだけど優しい」あなたとの日々は「楽しかった」し「ちょっと悪くない」日々だったわけで。
最後のリセット、タコピーのいない世界で別れを告げられた二人に起こることは友達の喪失なんです。世界を跨いで行われたソレはストックを残した状態で、喪失を経験させるという悲劇を作り出します。タコピーが二人に本当に残してしまったもの、それは「傷」です。「後悔」です。二度と会えないお友達と「もっと一緒にいたかった」という後悔なんです。
そして「おはなしがハッピーをうむんだッピ」という言葉を添えて去来するそれは「もっとお話したかった」という指向性を生むわけです。タチの悪いことに話したかった相手が誰なのかすら曖昧なままで。
ハッピー力は奇跡的でしょう、そうやって世界を跨いで感情を運んできてくれた訳ですから。でもその元となる想いは奇跡に依拠しないタコピー本人の行動が作り上げてきたものでしょう。タコピーの積み重ねてきた優しさが、関わった子供たちの一番柔らかい所に触れて、最後にそれと意図せずに、けれどタコピーに成しうる最大の形で”強く触って”去っていくことを可能にしたのです。
極めて無粋でしょうが、モノローグをつけるならこうでしょうか
『眼の前にいる疎ましいコイツと、同じものを見て何故か泣いているコイツと、お話しなきゃいけない気がした。』
タコピーは最後まで誰かに最高の笑顔を贈ることは出来ませんでした。失った後にそれを気付かせて傷つけるだけ傷つけて、彼自身は誰もハッピーに出来ずに地球を去っていくのでした。
以上が私のみたタコピー、タコピーのもたらしてくれた福音のお話でした
長い、まとめて
↓雰囲気壊すので反転して、どうぞ
しゃぁ!タフピーの原罪!
「そっかぁ 君は頭が悪いから人を傷つけることでしか本当に大切なものを伝えることが出来なかったんだね。かわいそ(涙)」
余談
大人が見てる解像度の高い世界と子供の見てる解像度の低い世界の対比がエグい漫画でしたよね。書き込まれた描写から見えてくる大人として彼女らにするべき正しい対処が見えれば見えるほど、子供たちが本当に望んでいる何かから遠ざかっていってしまうような気がして。
好きな質感描写ランキング
3位:子育ての練習
2位:きんようび|じゅぎょうさんかん ←次コマで話題にも挙がらないのが👍
1位:窓の意味のない養生テープ ←「ガラスがこわいの」とのコンボが👍
最後に
長々と読んでいただきありがとうございました。15話について書いた部分を見ての通り私はすっかりタコピーに感情移入してしまってしまいこのような文章をまとめるに至りました。タコピーの好感度が低くて、こういう読み方をしてる人が観測圏にいなかったのもあります。ラザロが死んだ下りでマルタさんもマリアさんもそこまで言う?って思った時の気持ちに近いです。知能は低くいと感情も小さく見積もりがちで実際私も途中までそういう見方してたのでタコピーが段々共感可能な存在になっていくという物語の読み方を提案できてたらなと思います。
(https://note.com/kksk/n/n487f81ea7b17 こちらの記事の見方をちょっと参考にしたりもしてます)
まぁそうは言ってもここまでの話はタコピーの優しさ・タコピーの無能さ(あと強いて挙げるならハッピー星由来のものではなくタコピー自身の行いだけが事態を前に進めたという構図の美しさ)を信奉しているが故に生まれた解釈なので神の見えざる手の後押しで全部解決したと思う人は異端書読んだと思って忘れていただけると幸いです。そうなったら俺がユダだよ(グノーシス主義
観客という名前の舞台装置【劇場版少女歌劇レヴュースタァライト感想】
初見の時は新手のルドヴィコ療法かな?と思いながら震えて鑑賞(TV版の時に時計じかけのオレンジのポスターが映り込んでたのは犯行予告だった?)、二回目は終始泣きながら鑑賞、三回目は何かずっと笑いながら鑑賞してしまい未だに自分がこの映画に対して何を考えてるのが全然定まらないのでスタッフ本の為にも四回目見るかぁと思いつつまぁ何とか言葉に出来る部分は言葉にしてみようかと
続きを読む君の肩の上の世界は見えないけど、その肩に手を添えられるようになりたい【天気の子感想】
小説読んでから二回目を観に行った結果夏美と須賀に打ちのめされてしまったという感想
続きを読む